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ルールに習う

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  建築には多くのルールがあります。 職種ごとにさまざまなルールがあり、また、その建築現場独自のものもあったりします。 ルールというのはその業種ごとの規則や決まりごと、 モノづくりにおいては道具の使い方までも含めてのことです。 最近、ある記事を読んだ際を読みました。 それは、"『ドラゴン桜』に学ぶ、ルールを守る人こそ個性的で頭がいい理由" https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/062700256/062700008/ その中では、「ルールを守るには細部までルールを理解しなくてはいけない」 「その競技について興味を待たなければルールなど知ろうと思わないだろう」 「今あるルールを深く知り そのルールのなかで工夫を重ねるうちに独自の発想が生まれる」 ・・・ 「自由に生きたいと思うなら、ルールの内側へ入りルールを作る側に回って自分の力で環境を変えるんだ」 と、どの分野で同様のことは言えると思います。 さて建築のおいては新しいディテールを考えることは、新たな工夫であり、挑戦で、ルールの熟知がなければできないと思います。 ルールの熟知、例えば、金物一つ作るにも、誰がどうやって加工するのか、その加工はどの範囲で加工可能なのか、難しい加工をする際の注意点は何か、材料の品質、仕上げは何が適切で、どういったメンテナンスが必要か、接合部はどうやって見せたいか、強度はどうか、現場での取付は誰がどうゆう順序で行うか、ネジ一つもどんな形状、品質がよいか、、、 考えるべきことは山のようにあり、それを含め、それらのルールに習わなければならないと思います。 そこから職人さんと対話できる形の図面を描き、その職人さんにそのルールを確認し、丁寧に意図を伝え、制作していきます。そこにはモノづくりのルール以上に人間関係のルールもあるのかもしれません。 突拍子のないアイデアが天から降ってくることなんてなく、今ある技術、デザインの延長として「何に習い」「どう発展させていきたいか」という思想に新たなモノづくりの地平線があると思いました。

youとit

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ただの箱なのか家なのか。 家を建てるのに必要なスペースだけがあればそれでよい。そうであれば、家を建てるのに建築家は必要ないかもしれません。 そんなことない。家には合理的なだけではない、喜びや豊かさ、情緒性、包容力、、、様々な要素が必要だと思います。 しかし、昨今の一般的な建築は、多くの既製品を組み合わせて作られていて、コスパ、タイパが求められる現代社会でよりその方向に加速していて、建築がどんどん貧相になっているように思います。大切な何かが少しずつ欠けていっているように。 私が建築を作る際、仕上げの部分では特に既製品を使うことを避けます。 「ちょうど良い」既製品があれば使いますが、そのちょうど良いってことがなかなかないので、0から考えることが多くなっています。 既製品の悪口を言うつもりはないですが、手作りの素晴らしさに私は心惹かれます。 既製品とは置換可能のものとして作られているものであり、より多く売れるために、汎用的に利用でき合理的に製造されることに主眼があると思います。 だから大量生産されコストカットができる反面、建築では、一件ごとに違う人が利用し、想いもことなる存在であるため、それがちょうど良く、美しく納まることはなかなかないのです。 置換可能性の問題は、建築の多くのことに対して通ずることです。 そこでマルティン・ブーバー(1878-1965) が言っていたことを思い出します。 人間関係で、人に対して" youとして扱うやり方 "と" itとして扱うやり方 "があるが、 (you=置換不可能性、 it=置換可能性 であり、) 人間はyouとして扱われると力は湧き、itとして扱われたり扱われ続けると力を失う。 と。 その言葉は、特に仕事へのモチベーションとして考えると理解しやすく、youとして扱われる際にその仕事がより光るものになると思います。 建築は人の手で築くものであり、その職人の一人一人が、より力湧き、意識的にその建築のためにつくっていく仕事があるからこそ、力強く豊かな建築ができるのだと思います。 また、それは設計も同様だと思います。 大切なのことは、細部の隅々に意識的に向き合うことでしょうし、ただただ建築を愛して、実践における責任感のある誠実な仕事をすることにかぎると思います。 造り手として、手仕事の跡が見える豊かな...

仕上げる

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自由ヶ丘の家で木部にオイルを塗っていきます。 今回は塗装屋の柴田さんに各所の塗装と合わせてお願いしました。 私は、木部にオイルを塗る作業はかなり好きです。 木がオイルを吸い、木目が立ち、より輝いていく。 空間がいっきにキリッと絞まります。 塗って、拭き取るだけの作業ですが、とても尊い作業です。 そこに至る様々な仕事が、その仕上げにより報われたような気持ちになります。  

素材への敬愛

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自由ヶ丘の家で床の土間を研磨仕上げをしました。 コンクリートを磨き上げ、ツルツルにしていきます。 どんな素材にもその素材の気持ちを想像し、手間をかけて、 よりその素材を生かしきるような作法が、 素材へのリスペクトだと思います。  

自由ヶ丘の家

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自由ヶ丘の家。 足場の陰影が美しく中庭の壁に映っていました。 春の穏やかな光が工事中の現場を暖かく包みます。 内部の土間打ちが終わり、内部の造作が進めていけます。 

格子とトラスの車庫 3

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基礎から1ヶ月半で完成しました。 里山の景色に馴染む、落ち着きのある佇まいとなりました。 格子の壁には、車好きのお客さんが「何を飾ろうか」と話してましたが、 これからの使われ方が楽しみです。  

格子とトラスの車庫 2

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大工工事もあと少し。 外壁は30mmの杉板を格子壁に直張り。 破風板のない妻面はすっきりして、バランスの良い立面になりました。