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小さく、大きく

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建物を計画することは、一つ一つが新たな価値の創造だと思う。 だから設計は面白く、毎回異なること考えなければならない。敷地、そこに住む人が異なれば、同じ道筋で進むことはない。 建築は、数式を解くように答えが導き出せるものではない。 世間には数式的な建築は多々あるが、小手先のギミックで生まれる建築には情緒を感じられない。 住宅においては、小説の行間を読むように、敷地、施主と対話し、心の拠り所を創造することが求められていることだと感じている。 建物に内包する景色、その佇まい、つくることにより生まれる生物の居場所は、図面から見える計画的なスケールだけではなく、もっと小さいスケールにも本質があり、 (例えば私であれば、食後にコーヒーを飲むダイニングで、片付けが残るテーブルと湯気が登るコーヒーカップのコラージュされた景色に生活の活気を感じることと同時に、コーヒーカップの中に反射して映り込むリビングの天井と、コーヒーの黒々をした底の見えなさ、立ち上る香りから、平和な日常に安堵しながら、仕事のことを頭に浮かべる。そんな主体的なスケールのこと) 見逃されがちな小さなスケールの景色や居場所は、数学的でなく、感覚的である。 建築を丁寧に考えるとは、より主体的で、より小さなスケールで考えることだと思う。